日本語の助詞

日本語の助詞は、日本人であれば自然に使っているので、別に何でもないと思っていたが、『好楽日和』(三遊亭好楽著 晶文社 2012年)の中にとても傑作な話が書かれてあった。
 三遊亭好楽の娘さんが失恋して泣いている時、父親としてなぐさめようと思ったいきさつを次のように書いている。
「なあ、おまえ、人間は顔じゃないんだから」と言おうとしたのだが、どうも少し酒が入っていたせいか口が滑って、「なあ、おまえは人間の顔じゃないんだから」と、言っちまい、よけいに泣かれましたよ。日本語って難しいですねえ。ちょっと言葉が逆さまになっただけで、とんでもない意味になっちゃうんですからねえ。
 父親が噺家だから、娘さんも許したと思う。だが、このような実例を知ると、日本語も注意して話さないと人間関係がおかしくなる。