瀬戸内寂聴の作家魂

『文藝春秋』(2015年3月号)を買った。芥川賞受賞作品を読むためであった。読後の感想はまあまあ。
 むしろ、瀬戸内寂聴の「九十二歳の大病で死生観が変わった」という文章が面白かった。91歳から書き始めた『死に支度』を死ぬまで書こうと思っていたが、途中で霊感が働いた結果、連載を12回で打ち切ったこと、そして、そのあとすぐに大病に見舞われたが、治療を受けているうちに、またしても書く意欲が湧いてきたことが、とても分かりやすく書かれてあった。
 「どう書けばいいかはまだ頭のなかでまとまっていませんが、『死に支度』を瀬戸内寂聴最後の小説にはしたくないという強い思いがあります。何かそういう湧き出てくるものがある。これが小説家としての才能だとすれば、まだまだ自分の才能は枯れてないと思うのです」
 瀬戸内寂聴は四国(徳島県)出身。彼女が大学時代を過ごした学寮に私も住んでいた。彼女は目白台に住んでたくさん小説を書いていたので、それにあやかり、私も目白に住んでいる。彼女は私よりも干支が2周り上の戌年。ここまではかなり共通点があるが、彼女が51歳の時、出家し、京都へ移った時は本当に驚いた。