鮨を握って50年

昨日、近所の鮨店に行くと、店内に胡蝶蘭の大きい鉢が5つも飾ってあった。
 「何か有ったんですか?」と尋ねると、「先月、開店50周年だったんですよ」と、大将のおかみさんが答えた。
 そこで、大将に向かって、「何歳の時から始めたのですか?」と訊くと、「21歳」とだけ答え、また鮨を握り始めた。
 ということは、現在、71歳。とてもお元気そうだから、あと20年は大丈夫だ。
 大将を見て、思った。何でも早くスタートすることの大切さを。彼はおのれの一本道をひたすらだ。
 奥さんがさらにつけ加えた。
 「私は築地の魚問屋の娘でした。甥も魚をやっているから、築地から大きなマグロを持って来てもらい、お客様の前でさばいたんですよ。解体ショーという言葉が有りますが、本当を言うと、マグロは生き物だから、解体とは言わないの。さばくというのが正しいんです」