學問所 雑司寮明哲院

昨日の午後、鬼子母神近くに用事が有った。帰路、工事車両が道を塞いでいたので、鬼子母神の境内を通って、迂回することにした。樹齢六百年の欅の木はいつ見ても見事だ。
 境内を出て参道に出ると、いつもとは異なる光景が目にとまった。「學問所 雑司寮明哲院」という看板が門扉にかかげられ、そして、その門扉は開いていた。
 私は、<學問所>という漢字に惹かれた。4百円でお茶が飲めるということなので、思い切って中に入り、「こんにちは」と大きな声で言った。
 すると、立派な体格の男性が現れた。庭から縁側に上がり、床の間のある部屋に招じ入れられた。築101年の家であった。床の間の壁は貝殻でできていた。縁側の床はリフォームをしているが、木材は伊勢神宮の式年遷宮の際に節があるということで撥ねられた由緒正しき檜だそうだ。
 その家の主は哲学者であり思想家。「大学教授に教えております」という言葉に一瞬、あれっ?と思ったが、すぐになるほどと理解した。
 築百年を超える家で、思索に耽る。なんとすばらしい時間の使い方であることか。