歌舞伎見物

アメリカから親戚が来日している。歌舞伎を見たいということで、私も久しぶりに歌舞伎見物をした。新しく建て替えられた歌舞伎座は初めてであった。新しすぎてすべてがピカピカ。花道などは、昔のほうが味わいがあったように思うが、これから数十年先になると、役者達のいろいろな汗やにおいが浸み込んで、いい味わいを醸し出していくにちがいない。
 印象に残った演目は、黙阿弥の「幡随長兵衛」。昔から、「幡随院長兵衛」という名前が耳に残っているが、本物の舞台を見ると、ものすごく印象に残る芝居であった。いわゆる世話物という部類に入るものだが、わずか1時間足らずの芝居の中に、男の生きざまが描き込まれており、まことに印象的であった。
 幕末明治期に活躍した黙阿弥(1816-1893)。360もの芝居を書いたそうだから、日本のシェークスピアだ。ネットで調べると、彼は65歳の時に、時代風潮に適合できない自分を感じ取り、「元の黙阿弥」という意味で、「黙阿弥」と改名したそうである。それでも77歳で亡くなるまでに作品を書き続けたそうだから、江戸の人間達の生活の機微がよくわかってすばらしい。
 これからは時間を見つけて、歌舞伎見物をしよう。芝居は最高!