お運びさんは東大生

今日はとても忙しくて朝食と昼食を取り損ねた。どうにかオフになったのが夕方の5時半。疲れとストレスを解消するために、いつも行く割烹へ向かった。メニューを見ると、さしみ定食がおいしそうであったので、いつもの通りに注文した。
 ところが、お通しを持って来た人の話し方、及び、声がいつもの仲居さんとは違う。声は男!
 女将に尋ねてみた。「新人ですか?」
 女将は答えた。「そうなの。駒場の大学に行ってる子よ。頭がいいから、教えたこと、全部覚えてくれるの。いつものあのネパール女性は、子供に会いにネパールへ帰ったわ、3ヶ月も。帰る日が近づいて来ると、彼女、もう仕事どころではなくなってしまって….。
彼は弁護士志望の学生さんなの。知らない世界を見て、経験を増やしたいそうよ」
 ネパール女性の代行が東大生とは! 彼の客に対する応対は極めてすばらしく、話し方も丁寧であった。
 私はつい興奮して、「あら、すばらしい! 毎日、食べに来たいわ」と、ついつい言ってしまった。