バンコク散策〈終)

3月1日、午前11時半、太陽君の家を出発。空港まではわずか15分。土曜日だったので、タイ航空660X便羽田行きは空いていた。
 さて、今回の旅を総括しよう。何の用事もない旅であったので、一日中、ホテルで寝ていてもよかったのだが、私の性格上、歩きまわるのが好きなので、「街の空気や、いかに?」とばかりに、またまたいろいろなことを見聞きした。
 バンコクは行くたびにおしゃれになっている。しかし、それがなんだか変だ。違和感を覚える。ゲートウェイの横にある昔ながらの美容院の店主がこう言い放った。
 「ゲートウェイなんか、地震でも何でもいいから潰れりゃいいのよ」
 時代の流れについて行けない人達が必ずいる。賄賂でぬくぬくとしている役人。今回の反政府派の街頭におけるアジ演説では、何故か英語の「コラプション corruption 」という言葉がよく聞こえた。それだけ腐敗しきっているのであろう。
 反政府派の動きを経済的に支持する人達。彼らは国政の改革を求めて果敢に闘っている。彼らの動きを譬えて言うならば、棒高跳びだ。しかし、バーが高すぎて、そこを飛び越すことが出来ない。政治や経済の汚職で塗り固められたバー。中産階級や知的人々の熱き要望でもってしても飛び越えることができない「バー」。
 かつて、「自由タイ」というグループがいて、タイを戦勝国に導いたことがあるが、その時の青年達には気概が有った。今、タイは生まれ変わろうとしている。新しい時代を造るべく、民主の声をまとめ、それを実行に移すことができる強く、清きリーダーの登場が不可欠だ。