40年前にタイの寺院で修行された御住職

昨日、泰日文化倶楽部にとても珍しい客人がいらした。その方は、都内のお寺の御住職であった。厳密に言うと、今年の3月まで御住職をしておられたそうだが、御子息にその地位をお譲りになり、現在は「先住」という肩書であられるそうだ。
 要件は、タイの寺院に手紙を書いてほしいというものであった。以前に一度、電話で依頼を受けていたので、「わざわざお来しいただかなくても結構ですよ」と申し上げたが、「いやいやそういうわけにはまいりません」とおっしゃられて、来訪された。
 電話の声はかすれた感じであったが、実際にお目にかかると、ものすごく矍鑠(かくしゃく)としておられ、理路整然とお話をなさった。そして、40年前にタイの寺院で修行をされた時の写真を見せてくださった。40年前といえば、私もすでにタイ語を教えていたので、同じ時期を生きている感じがした。失礼を承知で御年をうかがうと、なんと83歳。血色もよく、とてもお元気なご様子にびっくり。
 しかしながら、御高齢のため、もうタイへ行かれることはないと公言された。「お寺でのあの生活はもう無理です。井戸を掘るから、拝みに来てくださいと言われても、もう行けません」
 御住職(先代)は、これまでに弟子を数人、タイのお寺へと送り修行させたそうである。来年、久々に弟子をタイへ送り込むのだとおっしゃられて、とても意欲的であられた。