学問、それとも、実践力

『地方消滅 創生戦略論』(増田寛也・冨山和彦 共著 中公新書 2015年8月発行)を読んだ。その中に冨山氏(株式会社経営共創基盤代表取締役CEO)の提言の一部として、L型大学、即ち、地方大学(含む専修・専門学校)では、「学問」よりも「実践力」を学んだほうがいいと説いている。 
 たとえば、英文学部では、シェイクスピア、文学概論ではなくて、TOEICスコアアップ、観光業で必要となるレベルの英語、地元の歴史・文化の名所説明力を学ぶべき。
 経済学部では、サミュエルソン経済学、マイケル・ポーター競争戦略論ではなくて、簿記会計、最新の会計ソフトの使い方を学ぶべき。
 そうかもしれない。この提言に異論はない。だが、学ぶ側の生徒はいろいろな希望を持って大学に入って来るわけだから、片一方だけでは物足りないと思う。
 問題解決には、学問を解くのが得意な先生と、実践重視の先生と、両方のタイプの先生を用意すればいいわけだ。だが、大学側にはたくさんの教師を雇う余裕がない。実践を教える先生は非常勤でということにしてもいいわけだが、非常勤講師は報酬が安すぎて生活が苦しい。要は、学生次第。やりたいものを専攻し、ひたすら実践力、そして、思考力をつけるのみ。