泰日文化倶楽部の「タイ語上級 土曜日12:45」のクラスは、この1年間、随筆や漫画を翻訳する勉強をしている。後輩の皆さんも頑張って翻訳に挑戦してみよう!
以下の文章は太宰治の「故郷」(『走れメロス』新潮文庫所収)から引用したものである。家族がたくさん出て来るが、初級から中級クラスの生徒達には単語の復習になっていいと思う。
「北さんと中畑さんとが、そろって三鷹の陋屋へ訪ねて来られた。そうして、故郷の母が重態だという事を言って聞かせた。五、六年のうちには、このような知らせを必ず耳にするであろうと、内心、予期していた事であったが、こんなに早く来るとは思わなかった。昨年の夏、北さんに連れられてほとんど十年振りの故郷の生家を訪れ、その時、長兄は不在であったが、次兄の英治さんや嫂や甥や姪、また祖母、母、みんなに逢う事が出来て、当時六十九歳の母は、ひどく老衰していて、歩く足もとさえ危なかしく見えたけれども、決して病人ではなかった」