日本語を教える時、なるべく漢字を書いてあげる。漢字のイメージを早くつかんでほしいからである。
「港という漢字は、みなと、そして、横浜港、神戸港の場合は、こう、と読みますよ」と言うと、ボン先生の御主人はすぐに反応を示した。
「ああ、みなとみらい駅ですね。港は、香港の港ですね」
次に、下着の話になった。「アンダーウェアは下着(したぎ)です。上に着るのは、上着(うわぎ)です」
そう説明しながら、ふと思った。何故、「うえぎ」と読まないのであろうか、と。日本語における漢字の読み方は実にさまざまであることか!
「上」という漢字には、①机の上(うえ) ② 上がる(あがる) ③上り(のぼり) ④最上(さいじょう) ⑤上條(かみじょう)⑥上総(かずさ)⑦、上野介(こうずけのすけ)、等々
「下」という漢字も同じく、読み方はいくらでもある。調べれば、歴史の窓を覗くようで、時間が経つのも忘れそうだ。