桜咲く

昨日、高知は桜満開になったと報じられた。桜前線は次第に本州を上がってくることであろう。
 よくよく考えてみると、桜の花を待ちこがれている時のほうがいいような気がする。何故ならば、咲いてしまうと一週間で散ってしまうから、どことなく気ぜわしい。世の中もなんだか浮き足立ってくるし…….。
 昨日、北海道でヒットしているというお菓子をいただいた。「スプーンでたべる桜餅 Sakura」という名前である。色合いが本物の桜と同じように上品である。日本人であることの喜びを覚える。きざんだ桜葉が混ぜ込まれてもいる。トップには桜の花(塩漬け)もあしらわれている。薄紅色の道明寺。
 すべてのアイディアはすばらしいのであるが、何かが足りない。よくよく考えてみると、和菓子屋で売られている道明寺は桜の葉で包まれていて、香りを楽しみながらいただく。それに引きかえ、北海道の桜餅はプラスティックの容器に入っており、香りの点では期待できない。
 日本人は何かを食する際、舌はもちろんだが、目で色合いを、そして、鼻で香りを楽しむ。一枚の桜の葉は大きな役割を果たしているのだ。
 私の同時代の人々は、「サクラサク」という大学合格電報に一喜一憂した。今はインターネットで番号を確かめるだけ。
 いずれにせよ、桜の花は日本人の心の奥深くに何かをもたらす。2014年の春。大いに楽しみたいものだ。