ワイ(合掌) と おもてなし

今年の年賀状の中からとっておきの1枚をご紹介させていただきたい。それは元生徒A子さんからのものであった。彼女は昨年10月に2歳半位の娘さんを教室に連れて来られた。娘さんの名前は、はなちゃん。私ははなちゃんが退屈をしてはいけないと思って、『タイ語文字練習帳』の本をプレゼントした。書かれている鶏や魚の可愛い絵に色をぬって遊んでもらいたかったからだ。
 年賀状の文面を要約すると、こうである。「娘は実の祖母以外、ばあばとは呼ばないのですが、タイ語の本を指し示しながら、<ばあばがくれた>、と言ってます。何か感じたのでしょうか。ワイ(合掌)をしている絵を見ると、おもてなし、と言うんですよ」
 なるほど、昨年の流行語となった言葉とあのジェスチャーは、はなちゃんにはとても印象的だったようだ。それにしても、ワイ(合掌)の絵を見て、「おもてなし」とは!
 年賀状の写真は七五三の記念写真であった。「娘が着ている着物は、私の曾祖母がつくってくれたもので、私が3歳の時に着たものです」とA子さんは添え書きをしていた。 とすると、はなちゃんにとっては、ひいひいおばあちゃん(高祖母)。
 A子さんのご実家は日本橋で代々続く呉服店。はなちゃんが着ている着物は赤。それはそれは美しい。百年以上前の着物。日本の伝統美は永遠なり。