やんごとないこと

年末年始の休暇をタイで過ごした生徒さんが浮かぬ顔をしながら、「やんごとないことで2月にまたタイへ行かなければならなくなりました」と言った。それを聞いた他の人達は私も含めてだが、一瞬、怪訝な顔をした。何故かと言うと、「やんごとない」という言葉にひっかかったからである。

「やんごとない」という形容詞は「高貴な」とか「非常に尊い」という意味である。しかし生徒さんのタイ行きの理由を聞いているうちに、「のっぴきならない」という意味で使っていることがわかってきた。

『源氏物語』の世界、すなわち平安時代では確かに「高貴な」が第一義であるが、もう一つの使い方は「止む事無い」。それが「やんごとない」になり、その意味は「打ち捨てておくことができない」となったとのこと。古語もなかなかに興味深い。