抹茶茶碗の行方

或る女性が抹茶茶碗をいくつか所有していた。彼女は邪魔くさいと思って共箱を全部捨ててしまった。彼女の死後、娘さんがそれを引き継いだが、茶碗は不要ということで、私の茶道講師のもとにそれらが送られて来た。

共箱が無い茶碗を茶道講師は稽古場に持って来られ、弟子達にじゃんけんをして選びなさいと言った。弟子達もすでに茶碗を所有しており、余計なものは増やしたくないと言って欲しがらなかった。

結局、どうでもいいと思っていた私のもとに茶碗が2椀、預けられた。「萩焼だから、使えば使うほど少しずつ色が変わり、味が出て来ますよ」、と茶道講師。突然に舞い込んで来た茶碗。さあ、あと何年、如何にして付き合うべきか?