タイからの絵はがき

教室の郵便受けを開けてみると、タイからの絵はがきが入っていた。日頃はポスティングのちらしばかりでうんざりしているので、とても嬉しかった。さらに嬉しかったことは、それが約38年前の生徒さん(K氏)からのものであったことだ。

「コロナ明けで、何年かぶりの海外としてバンコク行きを選びました。ここ1ヶ月ほどタイ語を復習しましたが、辛うじてカフェで注文するのが関の山です」と書いてあった。それは謙遜であろう。

K氏は文筆家である。彼の書く文章はいずれも味わい深い。だから、私は好きだ。日本人があまり行かない諸国を行脚しながら、彼の眼におさまった光景がその地の空気感とともに綴られていく。旅を愛し、そして人間を愛す作家だ。