谷渡り

 4月22日、「アジア女性のための生け花教室」を実施した。参加者は日本人4名、中国人3名の計7名。各自、生け花を始めた時期が異なるのでレベルはばらばら。いつもであれば初心者は初心者向けの花材、そして、上級者は上級者向けの花材を華道講師が選ばれるが、今回は全員に共通するものがあった。
 それは「谷渡り」という羊歯科の葉で、類似したものは中国、台湾、東南アジアにも自生しているそうだ。なぜ、同じ花材を選んだかを講師が説明した。
 「生け花を習う人が少なくなると花や葉が売れず、園芸農家は経営的にやっていけません。継続して購入するという約束がないと農家はもう栽培しませんと嘆いてますから、大量に買ってくださいよと花屋さんに言われてしまいました」
 それにしても、「谷渡り」という命名は不思議な感じがする。調べてみると、胞子が飛んで行って谷を渡り、他の植物に寄生して発芽することから名付けられたそうだ。植物は谷渡り。そして人生は綱渡り。