フルートの音

新潟在住の親友からSNSが届いた。1965年4月に大学に入学した初日からの寮友だから、もう55年の付き合いがある。
 「お変わりありませんか? ワクチンの話題で少し明るい変化を感じます。私は毎日フルートに取り組んでいます。天国の妹に聞かせたくて」
 私はすぐに返信した。「ありがとうございます。元気です。フルートの音色、大好きです。今朝、あなたが目白にいらしてくださった時のことを思い出していた矢先でした」
 我々は精神的につながっているから、余計な話はしない。しかし、長い間、看病しておられた妹さんのことだけは聞いていた。妹のベッドのそばでずっと読書をして聞かせていた姉は、今、フルートの音を天国に届けようとしている。