八百屋の油絵

都電に乗ると、庚申塚駅手前で次なる広告アナウンスが聞こえる。「お地蔵様もびっくりの安い野菜や果物、○○商店」、と。それを聞いて、一度買ったことがあるあの八百屋だと思い、昨日、仕事帰りに庚申塚駅で下車。だが、私が思い込んでいた八百屋はシャッターが下りていた。
 しかしながらビタミンC補給のために果物を買いたかったので、もう少し歩いた先の果物屋に行った。店主は好好爺。いかにも実直そうであった。3代目だそうだ。
 お金を払う時、壁に掛かっている2点の油絵が目にとまった。サクランボ、リンゴ、などが題材。なかなかいい絵であった。画家志望であった方が、昔、置いて行ったものだそうだ。その方は行方知らず。だが、静物画の中のサクランボやリンゴは昭和や平成を生き抜き、そして、今、令和を俯瞰している。