被災した画家

昨日、大学時代の友人から電話が有った。彼女は画家なので、制作中に邪魔してはいけないと思い、私からは一度も電話をしたことはない。彼女からもかかって来たことはない。だが、今年はコロナ禍で展覧会や個展が無いため、いつもとは違う時間を過ごしているようだ。
 久留米在住の彼女は友人の画家の話をした。「球磨川上流にアトリエを持っている友人がこの間の7月の豪雨で、全ての作品が流されてしまったのよ。個展に備えて準備しており、あと一日で搬出しようと思っていた矢先だったらしいわ。全部無くなってしまったから、画家仲間でお見舞金を送ったばかりというわけ」
 何の自然災害であれ、被災した方達はいずれも皆、失ったものが多く、第三者からは想像もつかない。したがって、お見舞いの言葉を言うのは憚れる。だが、友人の話を聞いて、お会いしたこともない画家の茫然自失たる姿が目にうかんだ。