恬淡とした住職

お盆が終わって各家のご先祖様達は無事に黄泉の国へお戻りになられた。だが、今年は地上のコロナ騒ぎに奇異なる思いをされたことであろう。オンラインとやらで家族にも会えず、中には寺院でうろたえられたご先祖様もお有りかと思う。
 ネットのニュースで、僧侶が檀家さんの家々を1日につき50軒、それを5日連続で回ったという話が書いてあったが、各家庭の受け入れ方は複雑な様相を呈していたとか…..。
 私の家がお世話になっている寺院は、「今年は本堂で一括してお経をあげておきます」とご住職が宣言し、各家を回ることはしなかった。それではお布施が集まらないから寺院の運営が大変だと思ったが、聞くところによると、ご住職は金銭に対して恬淡としておられるそうだ。
 彼は早稲田大学を卒業後、即、寺に入られた。下足番のおつとめから始め、次第に修業を積んで、20年くらい前からは跡継ぎのいない寺院の住職を引き受けておられる。ファンタジーを書く純粋な心根をお持ちのご住職と私は同い年である。