先日、「五百機織」という着物を見る機会が有った。これは米沢の産で、「いおはたおり」と読むそうだ。頂いて来たパンフレットにはいろいろな説明が書かれてあったが、次なる文章を読んで、着物の奥深さをあらためて思い知った。
「五百機小紋=江戸時代、武家の裃に多く用いられた江戸小紋を表現した着尺です。経糸に約4000本の細い糸を、緯糸に独自の強撚糸を使用することにより、軽くてシワになりにくく、湿気に強い、風合いの着尺を目指しました」
経糸に4000本とは! 気の遠くなるような話である。だが、これはそのまま人生にも喩えられる。多くの事象を経ながら、そして、数限りない人々と瞬間的に行きずりあいながら、人生は流れて行く。
問題は緯糸だ。自分のやる気をどこまで織り込み、どのように個性を発揮していくか…..。そして、いかに満足の行く人生布を仕上げていくか…..。