昨日、「きもの紀行in浅草」というイベントに行ってみた。着物を買う目的はさらさら無く、ただ目の保養になればという程度であった。では、何故、行ったのか? それは、浅草草履職人である吉沼作次郎氏に会い、草履に鼻緒をすげてもらいたかったからである。
吉沼氏の第一印象は好好爺であった。すかさず年齢を伺うと、「88歳です」と自然体で答えてくださった。
「今、持っている草履ですが、あまり履いていないうちに、鼻緒が少し毛羽立ってきてしまいました。何故でしょう?」と私。
「それは大事にしまい過ぎて、経年劣化がおきているからです。箱の中にずっとしまっていると、どうしてもそうなります」
なるほど、そういうことであったのか…..。
私は吉沢氏の助言を受けて草履を選び、そして鼻緒をすげていただいた。彼は草履職人一筋だ。現役で88歳まで頑張って来られたことを証明する唯一のものは、彼の眼の前に置かれた丸太の叩き台であった。