行儀(江戸小紋)

他人の家に行く場合、行儀作法が大切である。仕事の上でも然り。上司に対する行儀や礼節さが自然に出ればよいが、最近は表立って、「行儀」という言葉を聞かない。
 だが、その行儀という言葉が、江戸小紋の中に生き延びている。江戸小紋の頂点に立つ模様で、その名は「行儀」。「鮫」や「角通し」も同じく格調高いものだが、その上を行くとのこと。
 何故、「行儀」という名称を持つのかをネットで調べてみると、江戸時代、武士が着用していた裃の模様のうち、「斜め45度に小さな点を打ち込んだ行儀紋は、人がお辞儀をする姿であり、折り目正しく礼を尽くす」という意味が込められていると書いてあった。
 日本人の智恵たるやすごい。着物の模様にまで相手をおもんばかる精神がこめられているとは。