アジア・アフリカ語学院の講習

私は1976年から三鷹市に在るアジア・アフリカ語学院でタイ語を教えているが、最近はタイ語の授業が無いため、ご無沙汰をしている。もう教えることは無いのかなあ、もう御縁は切れたかなあと思っていた昨日、偶然にもアジア・アフリカ語学院から電話が有った。9月に講習会を開きたいので、予定に入れておいてほしいという依頼であった。
 1976年といえば、今から42年前になる。春休みと夏休みに、「4週間集中講座」というものが開催された。毎晩、7時から8時半まで熱心な生徒達が集まって来た。1週間に1日ではない。毎晩なのである。今では考えられない。
 スマホが無い時代。その他、もろもろのツールが無い時代。熱心な生徒達がいた。回顧趣味におちいるつもりはないが、何もなかった時代のほうが、教師と生徒の間に熱情がびんびんと伝わり合って、翌日が来るのが待ち遠しかった。
 ツールはツールだ。生きた生身の教師にもっと向かって来てほしい。

梅雨明け

昨日、東京に梅雨明け宣言が出た。6月に出されるのは観測史上初めてと聞いて、その報にびっくり。このぶんだと、夏の日数が多くなりそうだ。早々に暑さ対策を考えないと、体も頭ももちこたえられそうにない。
 5月に60年ぶりで会った親戚の者が、何とまた会いたいと言って来たので、昨日、出かけて行った。出かけた先に、私のお気に入りの甘未屋が有ったので、そこで宇治金時を食べた。その店には百歳を越した看板娘がいるが、昨日はいなかった。
 「おばあちゃん、お元気にしておられますか?」と、私。
 「今月の頭、亡くなったんですよ。104歳でした。あと少しで105歳になるところだったのに」と、お店の人。
 おつりを間違えず出すおばあちゃんだったのに、今年の暑さを察知して、別の世界へ行ってしまわれた。
 冬眠という言葉があるが、「夏眠」という言葉も欲しい。たっぷりと休息・休眠を取り、体も頭も2018年の後半期に備えよう。

タイの水牛

 先週、泰日文化倶楽部の元講師からラインで一枚の写真が送られて来た。そして、次なる文面が添えられていた。
 「เมื่อวานไปถ่ายควายวิ่งแข่งกันสนุกมาก วิ่งเร็วพอๆกับม้าเลยค่ะ」(昨日、水牛が走る競争写真を撮りに行ったけど、とても面白かった。まるで馬と同じくらいの速さで走ったわよ。) このタイ語の文章は、臨場感にあふれ、とても生き生きとしている。それでいて、要点をきちんと伝えているからすばらしい。
 水牛といえば、<愚鈍>の代名詞の如く扱われているが、水牛も走る時は走るんだ。昔のタイは、田んぼ+水牛の光景が至るところに見られた。そして、仕事を終えた水牛が運河の中に体を沈め、耳だけぴょこぴょこ動かしていた風景が有った。しかし、工業化とともにその風景は遠くに追いやられている。
 ところが、どっこい。水牛はいた! 元講師が何県へ行ったのか明記していないのが残念。地方のどこかの水牛競争。地元民と水牛が一体となって、周囲の人を愉しませていた。

出船 & 入り船

今年もほぼ半分が過ぎた。来期(7月~9月)の授業料を支払って下さる方が次から次におられるが、片や、退会届を出される方もおられる。
 退会は喩えて言えば、「出船」。出船は一抹の寂しさを覚える。だが、生徒さんが新しい寄港地を目指すのであれば、大いに祝福したい。世界一周をする中で視野を広げ、また泰日文化倶楽部の港に戻って来てほしい。
 「出船」が有れば、不思議なことに、「入り船」も有る。新しい出会いは実に楽しい。港の近くでバーを経営するマダムの心境だ……。
 編物の製図の中で、目数を減らす記号として、「人」と「入」の2種類が用いられる。「人」は、2目を一緒に編むこと。しかし、「入」は、1目を反対側の編み棒に編まないままかけ、次なる目を編んだ後、かけていた前の目をかぶせて目数を減らすやり方である。
 「人」と「入」を毎日、繰り返しているうちに、「人が入る」という表現が頭に浸透してしまった。やはり、「人」は、適宜、「入る」ほうがいい。タイ語の表現で、「เข้ากัน 気が合う」というのがあるが、その直訳は、「互いに入り合う」から由来している。

ร เรือ の発音訓練

昨日から、新しいタイ女性講師を迎えた。バンコク生まれ、バンコク育ち、そして、チュラロンコーン大学を卒業しておられるから、話し方が美しくて愛らしい。彼女の発音を聞きながら、タイ語は「ร เรือ」の発音が命だと思った。
そこで、先週に引き続き、「ร เรือ =r音」を使った単語を以下に列挙するから、上手に発音するようになってもらいたい。
 1)บริษัท2)บริการ3)ประชุม 4)ประเทศ5)ประชาชน 6)รัฐบาล7)กระทรวง8)ปกครอง 9)เรียกร้อง10)รับรอง11)รับราชการ 12)ครอบครัว13)ครั้งแรก 14)จราจร15)รายเดือน16)เงินรางวัล17)ระมัดระวัง18)มหาราช19)เอกราช20)รัชกาลที่๙
 意味はあえて併記しない。ご自分の語彙力をチェックしてみては。

習った文型を応用しよう

昨日は暑かった。泰日文化倶楽部のテキストに、「ทำอย่างไรถึงจะหายร้อน どうすればいいんだろ、暑さをしのぐには」という文章が出て来る。そこで、この文型を応用し、徹底して使えるようになるために、次なる簡単な文章を宿題としよう。
 1)どうすればいいんだろ、美しくなるには。
 2)どうすればいいんだろ、金持ちになるには。
 3)どうすればいいんだろ、タイ語の単語を早く覚えるには。
 4)どうすればいいんだろ、タイ語の発音が流暢になるには。
 5)どうすればいいんだろ、タイ語が聞き取れるようになるには。
 6)どうすればいいんだろ、避暑地を探すには。
 7)どうすればいいんだろ、仕事を早く片付けるには。

紆余曲折

今朝、NHKのニュースを見ていたら、画面の隅に、「う余曲折」と出た。何故、「紆余曲折」と書かないのであろうか。「紆」の漢字が標準漢字に当てはまらないからであろうが、このような四文字熟語は、漢字のバランスもあるから、一文字だけひらがなにされると、極端に漢字の感覚をそがれる。
 そして、「う余曲折」のすぐあとに、今度は「叱咤激励」という漢字が画面下に出た。「叱咤」は漢字が書いてあったが、「叱咤」の上に、「しった」とルビがふってあった。このほうが親切である。
 いつのまにか一つの漢字が消えて、まだら模様の四文字熟語になっていくのは困ったものだ。
 今週の東京は30度越えだそうだ。それでも、「こっ苦勉励」、いや、「刻苦勉励」で、時を大切に刻みながら、精進しよう。

日中ハーフのマッサージ師

昨日、私を担当したマッサージ師は、私にとって2回目であった。彼は私のことを覚えていたため、積極的に話しかけてきた。日本語には全く破綻がなかった。日本人だと思えば、それで通る。しかし、私は訊かずにおられなかった。「失礼ですが、あなたは中国人?」
 彼は答えた。「父が中国人で母が日本人です。10歳までは吉林省でいました。その後、日本に来ました」
 それを聞いて、納得。だが、私はふと思った。彼の日本語は完璧、そして、容貌も日本人なのに、何故、中国人の雰囲気が感じられるのか。
 それは、彼が話す日本語が丁寧すぎること、そして、いささか迫力に欠けていることであった。客商売なので、そのため、丁寧な態度になっていることは当然とはいえ、やはり日本人とは違っていた。
 今日のひとこと。それは、文法も単語も正しくても、自信と迫力を持って話さなければ、その国の国民にはかなわない。

空を眺める

夏至(6月21日)も終わった。昨日の日の入りは夜7時。しかし、まだまだ明るかった。かすかに夕焼け雲も見えて、どことなく郷愁をさそわれる。そこで、じっと空を見た。
 空を見ながら、何もしない「空(くう)の時間」が有る有難さに感謝。私は性格柄、何かしないといられないタイプだ。だから、頭も、目も、耳も、口も71年間、せっせと動かして来た。しかし、何かすると、そこにはストレスが生じ、一日が疲労感とともに暮れる。
 『百歳人生を生きるヒント』(五木寛之著 日経プレミアシリーズ 2017年)の中に書かれてある「70代の黄金期」を読むと、いくつかのポイントを掲げられていた。その中で、①学びの楽しさに目覚める、②新しいことにチャレンジする、③幸せの期待値を下げる、そして、④退屈を愉しむ、等が参考になった。なかでも、<今日はナマケモノデイ…… という一日を作るのもよいでしょう>という文章が気に入った。

ร (รอ เรือ)の発音を明瞭に!

先週から、タイ人女性がゲストで教室にいらっしゃることがある。その彼女が気づいたこと、それは生徒の皆さんの発音の中で、「ร (รอ เรือ) =r音」が気になって仕方がないということだ。「舌を持ち上げて、振るわせなさい (กระดกลิ้น)」と、繰り返し注意する。長く教えているタイ人講師の場合は、日本人の発音に慣れてしまっているから、あまり注意することはない。
 日常会話でよく使う単語の内、「ร」が出て来る単語を品詞ごとに列挙するから、がんばって舌先を振るわせる練習をしてほしい。
 (1)疑問詞=อะไร(何)、 ใคร(誰)、 เมื่อไร(いつ)、 อย่างไร(どのように)
 (2)代名詞=เรา(我々)
 (3)形容詞=ร้อน(暑い)、เร็ว(早い)、แรง(強い)、แข็งแรง(健康な)、รวย(金持ち)
 (4)動詞=รัก(愛する)、เรียน(勉強する)、รับ(受け取る)、รู้(知る)、รู้สึก(感じる)、รู้จัก(面識が有る) 、รอ(待つ)、ระวัง(注意する)
 (5)名詞=รถ(車)、เรือ(船)、โรงเรียน(学校)、โรงแรม(ホテル)、ร้าน(店)ครู(教師)、รองเท้า(靴)、โรค(病気)、เครื่องบิน(飛行機)、รูปถ่าย(写真)
 (6)副詞=เร็วๆ(早く早く)、ราวๆ(だいたい)、เรื่อยๆ(続けて、絶えまなく)
 (7)前置詞=ระหว่าง(~の間)
  (8)単位=ร้อย(百)