神田川日記(25)

ぎっくり腰で入院している男性(65歳)がいた。「家で家具を動かしていてぎっくり腰になっちまった。仕事は建設業。親方として働いているが、仕事の時は緊張しているから絶対に失敗が無い。これじゃあ、弟子達に笑われるよ。早く退院しないとえらいことになる。仕事がいっぱい。2020年の東京オリンピックまでは仕事がいっぱいだからね」
 ある夜中、看護師達がバタバタした。「患者さんの容態が悪い。早く電極を! 家族を呼ばなくては…..」とか言いながら、その患者を個室に入れた。朝になって、その方が亡くなられてすぐに病院から運び出されたことを知った。病院にいても、死ぬときは死ぬ。そう思った。
 カバンで向こう脛を骨折した女性はずっと個室に入っておられた。理由は会社の仕事をしておられたからだ。夜中になるとアメリカにいるご主人に電話。個室でないとできないことだ。私の場合は大部屋でおばあちゃん達の生きざまを観察。