神田川日記(12)

入院して16日目にギプスカットが有った。リハビリの先生から「ギプスが無くなれば、右足に半分くらいの体重をかけられるようになりますから、かなりラクになりますよ」と言われていたので楽しみに待っていた。だが、医師はすぐにまたギプスを巻いた、踵(かかと)の部分だけを除いて….。
 期待がはずれた途端、後半の入院生活をどのように乗り切ればいいのかと思案した。腰を痛めた老女達にはベッド脇にポータブルトイレが置かれている。24時間、誰かがそのP-トイレを使って用を足すので、臭いと音がとても気になりだした。私がお見舞いをお断りしていた最大の理由は、このP-トイレにあった。
 だが、健康のバロメーターとして、毎朝6時起床とともに看護師が前日の大小便の回数を聞いて回る。したがって、他人の臭いや音を茶化してまぎらわすために、「あいうえおの歌」を作った。