神田川日記(6)

同じく骨折で入院している方達とおしゃべりすることが有った。バイクで転倒し右足の甲の骨を複雑骨折した男性は、最初、家の近くにある大病院へ行ったそうだが、骨折ごときでは入院させないということで、神田川沿いの病院にやって来られたそうだ。それを聞いた途端、私の病院選択は間違っていなかったと思った。
 私より1歳下の女性は高田馬場駅構内を歩いている時、一緒に歩いていた身内のカバンが向う脛に当たり骨折。転倒しなくても、骨折するんだなあ……。
 古い病院だから談話室が無い。お見舞いに来られる方達はベッド脇で患者と話をする。全部の話が聞こえてしまう。そこで私はお見舞いに来たいという方達にはお断りの返事をした。
 いずれにせよ、朝夕、神田川の流れを見ながら、長い人生を闘い抜いて来た老男老女達の終末期とその悲哀はまさしく「川の如し」であると感じ入った。