神田川日記(4)

私の隣りのベッドには87歳の女性が寝ていた。タンスを動かそうとして腰を痛めたそうだ。窓際に寝ていた女性はボランティア活動をしている女性であったが、私と入れ替わるようにしてすぐに転院して行かれた。すると、その日のうちに88歳のおばあちゃんが入って来られた。このおばあちゃんの家と私の家は近かった。彼女は高田1丁目、そして、私は高田2丁目。すると、白菜の葉っぱで滑った女性(79歳)が、「あら、私は高田3丁目よ」と言った。それから後、彼女は毎日のように、「高田1丁目、2丁目、3丁目」と連呼するようになった。
 この病院は神田川沿いにある。救急車が次から次にやって来て24時間、にぎやかだ。特に週末の夜中は急性アルコール症状になった若者達が運ばれて来る。だが彼らはすぐに退院して行く。長くいるのは高齢者ばかり。新宿区、豊島区、文京区の方達がお世話になっているようだ。