鮫小紋

昨日、八戸の着物店で6月下旬に購入した鮫小紋の着物が送られて来た。この着物には曰く因縁が有る。
 私は八戸へ仕事で行く時、東京から鮫駅までの切符を買い、蕪島神社をお参りした後、海猫を見て楽しんだことはすでにブログで書いた。八戸での初日、市内の着物屋へ行ってみた。青森県固有の珍しい着物が有るかどうか知りたかったからだ。折しも七夕が近かったので浴衣ばかりが揃えられていた。
 翌日も別の着物店へ行ってみた。店主は墨流しの着物を勧めた。「墨は黒。黒は苦労に通じます。ですから、墨流しは苦労を流すということになります」 「私は鮫小紋を探しているんですけど…..」と言うと、店員が店の奥から出して来た。その着物を見て、私ははっとした。新宿のデパートで勧められた着物と全く同じものであったからだ。
 鮫小紋は武士の裃に使われる生地であり、精神的に強靭なものと思われている。八戸で私を待ち構えていた鮫小紋。何かの縁を覚えて、今度は見送らなかった。