タイの水入れ(ขันน้ำ)

 物は増やしたくないが物はたまる。そこで致し方なく近所の家具店へ行き収納ボックスを買うことになる。家具店の女性店主は私をよく覚えており、何でも家まで届けてくれるので、散歩も兼ねて、ついついその店へ行ってしまう。何故、その店に行くか。それには次なるもう一つの理由が有る。
 ある日のこと、店のレジ近くに、タイ人が日常よく使っているタイの水入れ(ขันน้ำ)がいくつか並べて置いてあるのを見た私は店主に尋ねた。
 「このタイの水入れ、おいくら?」
 「それは売り物ではありません。新婚旅行でタイへ行った時に買ったものです」と、店主。
 それを聞いて、しばしタイ談義が始まった。タイが好きな店主がタイの水入れをまるで招き猫のように大切に置いてある。その家具店は私が知る限りかなり長く営業しており、通信販売のご時世にもめげず、地元に根付いて実によくがんがっている。