文字よりも絵

数日前、タイ人のお母さんが連れて来た6歳の女の子と会った。私はすかさずタイ語で話しかけると、お母さんが言った。「この子、タイ語、話せません」
 そう言われて、日本で暮らしていて、タイ語を聞いたり、話したりする環境にいないから話せないのがわかった。
 女の子は幼稚園の年長さん。彼女が退屈を始めたので、名前を書かせると、ひらがなで書いた。最初は間違ったけれど、間違いを教えてあげたら、2度目はきちんと書き上げた。
 さあ、次は何をしてあそぼうか。やはりお絵かきがいいと思った。白紙を渡すと、家族が車に乗っている絵を描いた。次に、家族が横断歩道を渡っている絵をすらすらと描いた。もっと紙をちょうだいと要求してきたので、数枚、渡すと、飛行機の機内の様子を描いた。母親に連れられてチェンマイへ行った時の様子が強烈に残っているらしい。そして、最後は、マンションの窓をたくさん描き、人々もつけ加えた。
 絵はとても上手であった。6歳の子どもは、文字よりも絵のほうが楽しいことがよくわかった。