私は1983年から警察通訳をやっている。33年間、元気で頑張って来られたのはこの仕事が好きだからだ。私の名前は、敬子。<敬>の漢字の下に、<言>を付ければ、<警>になるから、何か御縁があると思って、通訳要請が入れば、いそいそと出かけて行く。
守秘義務があるから事件のことは一切書けないが、先日、某署で感心する光景に遭遇した。それは、午後6時半頃、仕事が終わったのでエレベーターを待っていると、小学校4年生位の少年達が5人、めそめそしながらエレベーターから降りて来た。警察官が本気で叱りつけると、そのうちの一人は、本気になって泣き出した。久しく見たことがない光景であった。
本気になって叱る警察官と本気になって泣く子供。本気になるということはエネルギーを消耗するが、人間対人間の勝負としてはすばらしい。少年達は将来に及んでこの日のことを覚えており、もう決して悪いことはしないであろう。