今年1月から新しく講師に加わったキック先生は、ものすごく小柄なタイ人女性だ。体重43キロというが、私の目には40キロにしか見えない。そのキック先生が、授業後、一緒に帰る時、私の腕にかならず手をまわし、私がころばないようにガードをしてくれる。
「先生、ひじは大丈夫ですか?」
「ひじ? ああ、ひざのことね。大丈夫じゃないのよ」
彼女はひざ(เข่า カオ 低声)とひじ(ศอก ソーク 低声)を混同して覚えているようなので、すかさず教えてあげた。
「ひじではなくて、ひざね」
いずれにせよ、一人っ子であるにもかかわらず、彼女の気遣いは徹底している。ということは、タイの教育がいいのかもしれない。「年寄りには手を差しのべる」という教えが……。