早稲田と異なり、目白には古書店が少ない。というよりも、2軒有ったうちの1軒が閉店したのが5年前。残りの1軒は、映画の舞台にもなった場所だから、おそらく閉店はしないであろう。だが、店の前を通ると、いつぃも閉まっている。
ところが、一昨日、店員さんが本を抱えて、地下へ入って行く様子が見られた。「開いてますか?」と尋ねると、「上階に人がいますから、上がって行ってください」と、反応してくれた。
その店は、主として歴史と芸能の書物を揃えている。私は若い店員に話しかけた。
「このお店のおじいさんとおばあさんはお元気ですか? 以前、よくお見かけしましたが」
彼は答えた。「ああ、二人とも亡くなりました。私は孫です」
それを聞いて、私はお孫さんが古書店を引き継いだことに、明るさを感じた。是非とも末永く、古書店を維持して行ってもらいたい。