バンコク ぶらぶら(1)

2月17日午前0時20分、羽田を出発。タイ航空は満席。いやはやタイへ行く方達のなんとまあ多いことか。
 何故、私は丸2年間もタイへ行かなかったのであろうか。自責の念にかられた。ああ、失われた2年間….。
 客層はさまざま。私の隣りに坐ったおじさんは、完全に遊びのようだ。気楽でいいなあ。そうかと思うと、通路を隔てて斜め前に坐っているビジネスマンは、会議のためのレジュメに目を通しっぱなし。そして、『タイ語自遊自在』という本を座席の網ポケットにしまっているではないか。
 「およしなさいな。そんなことでは間に合いませんよ。タイ語は沼のごとく奥が深いんですからね」と、私は声を殺して、彼の背中に向かって語りかけた。
 今回の旅で、タイ語がますます好きになった。私を鍛えてくださるタイ人がいれば、最初から鍛え直してもらいたくなった。