校正ミス

本を読んでいると、ほとんどの本に校正ミスがあることに気づく。一昨日、購入した『鴨居玲 死をみつめる男』(長谷川智恵子著 2015年)の中にも有った。
 「玲さん。貴方は、その時どきの‟自画像”や、数々の‟静止した刻”を、私達に残してくれました。これからも、それ等の作品が私達をゆすぶり、励まし続けてくれましょう。私達は、貴方の絵によって、独り生きることから、救われるのです。あとがとう、玲さん」
 上記の文章は鴨居玲に対する親友の弔辞である。本の最後のほうに出てくる。感動を持って読んできたのに、<あとがとう>はない。ああ、どうして、もっと校正を数人の目できちんとしなかったのであろうか。「ありがとう」という言葉はあまりにも当たり前すぎて、誰も注視しなかったに違いない。
 何故、そのように言うかというと、私自身が校正を何度もやったことがあるものの、100%、完成を見たことがないからだ。著者達の残念な気持ちが痛いほどわかる。校正作業、恐るべしかな。