最近のニュースとして、タイ女性(21歳)の代理出産が話題になっている。代理出産であれば他国でも実施されているであろうから、それだけならニュースにもならない。しかし、タイ女性が産んだ双子のうちの一人がダウン症であったため、依頼主のオーストラリア人夫婦がその子の引き取りを拒否したことに端を発し、オーストラリア首相までがコメントを出し、さらには、多額の寄付が集まっていることに対して、当該のタイ女性が明るく会見している姿をテレビで見て、これから先のことをつい案じてしまった。
30年前の話になるが、その頃、幼児誘拐が多発し、ヨーロッパへ売り飛ばされて行った事件があった。何とかわいそうなことであろうかと思ったが、今回の事件は代理出産業というビジネスが問題だ。依頼する側にとっても、そして、依頼される側にとっても、リスクが大きすぎる。問題が発生すれば、仲介業者はおそらく責任をとろうとはしないであろう。
私は仕事上、複雑な家庭環境で育ったタイ女性と接することが多々有るが、いつも願うこと、それは、タイ人の持ち前の明るさを維持し、普通の生活をしてほしいということだ。代理出産をしたタイ女性は、「貧乏だったから」と答えた。この言葉を私はこれまでにいやというほど聞かされてきた。貧乏から逃れるために、女性であることを売り物にしてはいけない。やむを得ずやってしまっても、十分に反省をし、それを繰り返してはならない。タイの少女達には教育の機会をできるだけたくさん与え、判断力のある女性に育ってほしいといつも願っている。