日本人はけじめをつけるのが好き

昨日で上智大学における前期の講義は終わった。残すは来週の期末試験だけだ。
 5月からインフォーマントとして手伝っていただいていたタイ人講師のS先生に感謝の気持ちを表わそうと思って、授業後、食事におさそいした。
 ところが、S先生はこうおっしゃられた。「日本人は何かひとつ終わると、食事とかしてけじめをつけますよね。タイ人はそうではありません。しかし、私は日本に長いので、日本人とタイ人の中間の文化で生きてます」
 どうやら遠慮をしておられるようであったので、「それではお茶でもして、少しおしゃべりしませんか」と私が言うと、やっと応じてくださった。だが、昨日は四ツ谷駅周辺の喫茶店はどこも満員であった。やっと見つかった4軒目の喫茶店は煙草の煙がきつく、S先生はいやがった。結局、食事もお茶もしないまま互いに家路につくことになった。
 「日本人はけじめをつけたがりますね」というS先生の言葉を復唱しながら、そうかもしれないなあと思った。タイ人は日本人と比べると、白黒をつけるようなことはなく、自然な空気の中をくったくなく生きている。タイ人の場合、冠婚葬祭と誕生パーティーは例外だが、何か一つのことが終わって、「打ち上げパーティー」とか、「反省会」とかはあまりしないような気がしてきた。