101歳のおばあちゃんと同じ部屋にいた93歳のおばあちゃんはもう退院してもよさそうなくらい病状が回復したのに、あえて退院しそうもなかった。理由は家に帰っても一人暮らしだから。時間が来ると三食必ず提供してくれる病院のほうがいいと言うのである。その気持ち、わからないでもない。だが、私の場合、いつまでも病院に甘えていては大きなマイナスだ。
そのおばあちゃんには息子さんが3人もいるそうだが、近くに住んではいるものの、同居はしていないとのこと。年をとると、息子よりも娘がいたほうがいいなあと思った。
その他に、子供がいないというおばあちゃんがいた。甥御さんが頻繁に見舞いに来てはいたものの、それはそれで大変なことである。ご主人に先立たれて一人残されたおばあちゃん達も多かった。結婚していようが、独身であろうが、子供がいようが、いまいが、結局のところ、一人で病いを乗り切らなくてはならないのである。
神田川日記(15)
やいゆえよの歌
辞め時 退き時いろいろと考えるがゆとりある人生にはエンドレスで働かざるを得ないよーし 吉川 もうひと踏ん張りだあ
らりるれろの歌
ランランランと歌いながらリズミカルに過ごせる日はいつかしらルンルン気分に早くなりたいなあ連日のリハビリ 労多くして遅々たる効果
五十音の歌が終わった。さて、どうしよう。そうだ、今度はアルファベットの歌にしよう。
神田川日記(16)
The Song of ABCDE
Ability is still within me Being strong is important Changes must be done for future Days of damages are also meaningful Energy may come back and leads me to joyful life
The Song of FGHIJ
Fullfillment should be done in the last stage Grace and generosity are always required Health helps human being happy Intelligence makes me aware the meaning of life Joyness is coming soon with light
The Song of KLMNO
Knowing is necessary for better life Living should be kept on with highly mind Meeting various matters would be null Nothing is desired more than now One thing unforgettable is my presence on the earth
神田川日記(17)
The Song of PQRST
Punctuality leads perfect pace of life Quality must be required for nice living Recovery is assured day by day Sensitivity and stability are also demanded always Toughness of mentality is my treasure absolutely
The Song of UVWYZ
Uncertainty appears unknowingly Various trials should be overcome Who can fight is the winner in the end Yesterday is yesterday Zenith of my life is still ahead
アルファベットの歌もあっというまに終わってしまった。次はタイ文字順(例:กขคฆง)で詩歌を作ってみよう。
神田川日記(18)
タイ語の文字配列順はサンスクリットやパーリ語と同じである。日本語のア行を一番うしろに回せば、あとはカ行、サ行…..といったふうに、日本語と同じ配列になる。これは明治時代の国語学者が、<いろはにほへと>から、<あいうえお>に変換させる時、参考にしたのが梵語(サンスクリット)だったからだ。
บทกวี ของ กขคฆง (カ行の歌)
กำลังกายกับกำลังใจสำคัญมาก(体力と気力はとても大切)
ขอให้มีเพียงพอสมควร(どうか十分に与えたまえ)
ความเป็นอยู่ย่อมมีความหมายมากมาย(生活には当然多くの意味を持つべし)
ฆ่าเชื้อฆ่าศัตรูให้ได้(菌を殺そう 敵をやっつけてしまおう)
งานคือเงิน เงินคืองาน งานกับเงินเป็นพี่น้องกัน(仕事=お金 お金は仕事と直結 仕事とお金は兄弟なり)
神田川日記(19)
タイ文字による サ行の歌 บทกวี ของ จฉฃซญ
จิตใจต้องเข้มแข็งเมื่อใด(精神はいついかなる時も強くあれ)
เฉพาะในยามโรคภัยไข้เจ็บ(特に病めるときには)
โชคชะตาขึ้นอยู่กับเมตตาของพระพุทธเจ้า(運は仏陀の慈悲におまかせ)
ซักถามว่าความสุขคืออะไร(幸せとは何かと尋ねたところ)
หญิงชราอายุ๑๐๑ปีตอบว่าความสุขคือความมีชีวิตชีวาร่าเริง(百一歳の老女は答えた 明るく暮らすことよ)
神田川日記(20)
タイ語の文字による タ行の歌 บทกวี ของ ดตถทธ
ดีก็ดี ไม่ดีก็ไม่ดี(良きことは良し 悪しきことは悪し)
ต้องทำดีๆด้วยความตัดสินใจ(意を決して良きことを為そう)
ถ้อยคำก็ต้องชัดและสุภาพ(言葉遣いも明瞭で丁寧であるべし)
ทิ้งอดีต ต่อสู้สู่อนาคต(過去を捨て 未来に立ち向かおう)
ธรรมชาติทำให้มนุษย์มีท่าทางถ่อมตัว(自然の前に人間は謙虚であるべし)
神田川日記(21)
タイ語の文字による ハ行の歌บทกวี ของ บปผฝพฟภ
บ้านมีสวนที่ดอกไม้บานสวยงาม(家には美しい花が咲く庭が有る)
ปลาทองก็เป็นในสระ(池には金魚が元気に泳いでいる)
ผลไม้หลายชนิดกำลังดี(たくさんの種類の果物が食べ頃だ)
ฝนเป็นพรของธรรมชาติ(雨は自然からの恵みそのもの)
เพื่อนๆมารวมกันสังสรรค์(多くの友が楽しく集う)
ฟ้าก็แจ่มใส ทะเลก็โปร่งใส(空は青く 海は澄んでいる)
ภูมิใจที่มีชีวิตในชาตินี้(この世に生きていることを誇らしく思う)
注:残念ながら、ナ行は文字が一字(น)しかないので、はずすことにした。
神田川日記(12)
入院して16日目にギプスカットが有った。リハビリの先生から「ギプスが無くなれば、右足に半分くらいの体重をかけられるようになりますから、かなりラクになりますよ」と言われていたので楽しみに待っていた。だが、医師はすぐにまたギプスを巻いた、踵(かかと)の部分だけを除いて….。
期待がはずれた途端、後半の入院生活をどのように乗り切ればいいのかと思案した。腰を痛めた老女達にはベッド脇にポータブルトイレが置かれている。24時間、誰かがそのP-トイレを使って用を足すので、臭いと音がとても気になりだした。私がお見舞いをお断りしていた最大の理由は、このP-トイレにあった。
だが、健康のバロメーターとして、毎朝6時起床とともに看護師が前日の大小便の回数を聞いて回る。したがって、他人の臭いや音を茶化してまぎらわすために、「あいうえおの歌」を作った。
神田川日記(13)
私は毎朝6時半から7時の間に、歌を作った。ただし、かなりこじつけの感があるのは否めない。気をまぎらし、自分を鼓舞するために…..。
あいうえおの歌
頭は空っぽ入れ歯探しといびき うんち メンメン(臭い臭い) 永久にまだらボケおむつとおならで はい、さよおなら
かきくけこの歌
感情まだらで勘定は無理 きのうのこと すでに忘却のかなた 食い気だけはまだまだお盛ん 倦怠感 日増しにつのり これから先の希望無し あら、いと悲し
さしすせその歌
淋しさも感じず 死の怖れも無く すでに彼岸へ向かうのみ 生も活も今は昔 そうなの 心はすでにおだやかなりけり
姥捨て山軍団の中にいて、なんだか暗いムードになって来た。次からは明るいムードの歌を作ることに切り替えよう。
