どうにか平常なる生活に戻った。退屈である。机の下に積読されている雑誌。手に取ったのは『オール読物』(文藝春秋・2001年3月号)であった。表紙に「第124回直木賞決定発表」と書いてある。おそらくそれに惹かれて買ったにちがいない。
折りたたんでいる目次を開く。作家の名前に次から次へと目を移すと、今では鬼籍に入られた方がいっぱい。例:井上ひさし、黒岩重吾、田辺聖子、津本陽、平岩弓枝、渡辺純一、他。驚いたことは、この本のトップを飾っている栄えある直木賞受賞者の山本文緒さんまでもが2021年に亡くなっていることだ。
目次の広告に目をやると、「伊佐須美神社」という知らない神社がPRされている。「東北でも有数の格式を持ち、祈りの国・会津の文化と精神のふるさとです。美しい会津路を辿って、この心の聖地へ、あなたも、旅をしてみませんか」
人様(ひとさま)には寿命有り。作家とて、命短し。だが、神様は永遠。目次に描かれた神社の奥殿におわします神様に合掌し、長寿の恵みをとお願いした。
