バンコク今昔物語(1)

11月15日10時35分、羽田を飛び立ち、15時過ぎ(現地時間)にスワンナプーム空港に到着。入管審査のため外国人用レーンに並んでいたら、私を手招きする係官が目にとまった。私の杖を見たからであろう。

彼のそばに行くと、突然、タイ語で年齢を聞かれた。「79歳」の「9 ガーオ」を強調して答えると、Priorityのレーンに行けと指示された。TDAC(タイのデジタル入国カード)を済ませているのでスイスイと通過できると思いきや、従来通り、時間がかかった。何故ならば指紋の読み取り機の反応が鈍かったからである。この話をあとでバンコク在住の元生徒に聞かせると、「先生の指が年齢のせいで油分が無かったのでは?」と嫌味を言われた。だが、同行者である華道講師も同じく時間を要したから、やはり機械が悪いと言いたい。

ターンテーブルで荷物が出て来るのを待っていた時、私の背後から「吉川先生!」と声をかける人物がいた。私にとってものすごくサプライズであった。彼のおかげで今回の旅がスムーズにスタートしたと言っても過言ではない。