『人生の整理術』(保坂隆著・朝日新書 2011年)の「序章 幸せな老後はスッキリした生活から」に、<小欲知足>の精神が紹介されている。
~昔の暮らしは、なんとシンプルだったのだろうか。<中略> ふだん使わないものは納戸や押し入れに収納し、暮らしの場では必要最低限のものだけを使う。それでいて、床の間の掛け軸、飾り物など、ちょっとしたあしらいを変えるだけで、季節感や年中行事を現代以上に愉しんでいた。精神生活は非常に豊かだったのである。~
文中に出て来る「あしらい」という言葉に私は注目した。「取り合わせ」とか「工夫」という意味合いで解釈すればいいだろう。昔の人なら「あしらいが悪い」とよく言った。この場合は応対や取扱いを指す。「料理のあしらい」なら、煮物、焼き物、そして刺身に彩りを添えることだ。タイ語のネット辞書では「การรักษา」としか書いていない。物足りなさを覚える。状況に応じて訳す頭の訓練が必要だ。
