百年近く続く靴店

一昨日、教室の近くに在る靴店へ行った。地元にお金を落としてあげようと思って、いつもそこで買っている。しかし、店主は余計なことを喋らないタイプなので、彼のプライバシーは知らなかった。

「最近、外国人が増えましたね。アジアの物産店だらけ」と私が言うと、店主が突然、饒舌になった。「そうなんです。外国人が増えることは嬉しくもあるんですが……。でもね、私はここで生まれ育ったんです。街の変貌にはもうついていけません。祖父は靴職人でした。店を始めたのは1928年(昭和3年)。もう少しで百年です」

彼の年齢を尋ねると83歳であった。親戚も皆、靴を販売しているとのこと。そう言えば近くの鰻店も和菓子店も創立百年を越えている。外国人勢力にうろたえている靴店の主の弁。「私がいなくなったら、この高田馬場はどのように変わりますかね?」