つきづきしい

『90歳、男のひとり暮らし』(阿刀田高 新潮社 2025年9月)の中に、「つきづきしい」という単語が2回ほど出て来た。恥ずかしながらその意味がわからなかった。調べてみると、古語であった。「もっともらしい、相応しい、似つかわしい、好ましい、調和がとれている」というような意味で、漢字では「付き付きしい」と書くらしい。

ネットでは『枕草子』から例文を引いている。「いと寒きに 火など急ぎおこして 炭もて渡るも いとつきづきし」

90歳以上の方達、あるいは、古典に親しんだ教養ある方達には「つきづきしい」がよくわかり、普通に使いこなせるのであろう。だが、戦後生まれの者にとってはもはや死語に近い。言葉は生まれ変わる。新しい言葉にどうにかこうにかついていってはいるけれど、安っぽい造語はいただけない。たまには古典にもどり、言葉の余韻を楽しむこともあらまほしけり。