バンコク今昔物語(7)

王宮の門のところで服装チェックが有り、我々はひっかかった。そこで門のすぐ近くにあるエレベーターで地下に降り、黒の巻きスカート(ผ้าถุง)と、同じく黒の上衣を貸してくれるコーナーへ行った。私の場合は、自分で手縫いしたものを日本から用意して行っていたが、同行者二人に合わせたほうがいいと思い、やはり借りることにした。

黒装束に身を包んだ我々は王宮前広場の地下にできている大広間で、タイ人達の中に交じって宮殿に案内されるまでひたすら待った。大広間には撮影スポットが有り、タイ人達は記念写真を撮っていた。もちろん我々も撮影係の人に三人の姿を撮ってもらった。背景は古き良きバンコクの昔の王宮近くの白黒写真だ。まるでラーマ5世時代に引き入れられた感がした。

セキュリティ対策は万全。タイ人達は国民身分証明書を機械にかざす。我々は旅券をかざした上で、さらに係官による旅券チェックがあり、ようやく胸に許可のシールが貼られた。大広間で待つこと2時間余。そして、王宮の門にようやく入ってから宮殿内の御棺の間までさらに30分。50人単位で動かされた。「日本人はだめです」という制限は全く無く、タイ人と同様の扱いを受けたこと、そこにタイ人の優しさと鷹揚な態度を再確認した。