瀬戸内寂聴と塾

『寂聴・猛の強く生きる心』(梅原猛・瀬戸内寂聴 講談社 1994年)の中に、「少人数の塾で個性を引き出す」という箇所が有る。興味深い文章を以下に抜粋する。

梅原:「日本の大学は、受験システムのうえに偏差値教育が主になっているから、大学がまったく個性がなく、独創性もない。<中略> 瀬戸内さんかついで塾でもつくらんといかんか」

瀬戸内:「私は徳島でも塾を開きました。寂聴塾というのを。それから京都でも嵯峨野塾を開きました。徳島では、私が塾で教えた連中が今、社会へ出て、要所要所でそれぞれ活躍してます」

だが、寂聴さんは徳島の塾を閉じた。「塾は長くするもんじゃないの。二羽さんの[文学者]じゃないけど、してくれて当たり前になるの。私は全部手弁当ですからね。そうすると当たり前になるの。だから、それはあるときにぱっと解散して、もうお前たちにはやり方教えたから、自分たちでやんなさいと言って。そうすると、またそれぞれやりますよ」