『歴史読本』(新人物往来社 2006年8月号)に「明治・大正を生きた女性人物事典」という項目が有り、64人の女性の一生が簡明に解説されている。その中で、モルガン・ユキ(1881-1963)に興味を覚えた。
彼女は祇園の芸妓の時、来日中のモルガンに見初められ、紆余曲折の後、高額で落籍され結婚。夫とともにアメリカへ(明治37年/1904年)。次いでパリへ移りパリ社交界の花形になった。だが、大正14年(1925年)、夫と死別。「遺言によりアメリカに帰化しようとしたが排日運動に阻まれ果たせず、ニースを居所とし、遺産六十万ドルの利子で生活する」という文章が続く。
私が関心を覚えたのは、次なる文章である。「大正十五年から仏軍士官でカンボジア語の学究タンジールと同棲し、彼の研究費を援助した」
フランスのカンボジア語研究の裏に、なんと日本女性が寄与していたのである!