目には青葉 山時鳥 初鰹 (山口素堂)
新緑がとても美しい季節になった。思わずこの俳句を思い出した。鎌倉で詠まれたそうだが、鎌倉でなくても、太平洋沿いの場所であればどこでもこの句が生まれそうな気がする。
しかし、大岡信(詩人)の『夏のうた うたの歳時記2』(学研社 1986年)における解釈によればこうなる。 「目のためには一帯の山の青葉、耳のためにはほととぎす、鎌倉の初夏はすばらしい。それさえあるのに、相模の海の名物の初鰹とは、何といい土地柄だろうというのである。初物好きの江戸人の美意識が強く感じられる」
江戸人の美意識か! 東京に住んで59年目になるが、何年経とうが、なかなか到達できない領域、いや領粋(りょういき)である。