ここ数年、師走はのんびりすることにしている。だが12月7日、秋田での仕事が舞い込んで来たので、急遽、上野から新幹線「こまち」に乗っていざ秋田へ。大曲までは行ったことがあるが、その先の終点秋田は初めてであった。人口減少に悩む秋田県……。確かに人の往来は少なかった。
翌8日、朝食のためホテルの食堂に行くと、マレーシア人達の観光客と一緒になった。彼らは皆、おとなしめで無口。食事の味付けが口に合わないのかもしれない。そして窓の外はみぞれ混じりの雪。
車窓から見た稲刈り後の田んぼは黒い土に変わりつつあった。そこに雪があっという間に覆いかぶさり、一面、白い世界に。太陽は鉛色の空から鈍い光を放つのみ。生きとし生けるもの、皆すべて、これから長い冬に耐える。そして春を待つ。暑い国からやって来た観光客が秋田に対していかなる感想を持って帰国するか? とても興味深い。